「交通事故にあい、両手両足にまひが…」パラスポーツ選手を夫にもつフリーアナ・久下真以子。「おなかの子に金メダルを」が2024年の目標だった

-
2024年11月、夫で車いすラグビー選手でパリパラリンピック金メダリストの羽賀理之さんとの間に、第1子となる男の子を出産したフリーアナウンサーの久下真以子さん。パラアスリートの強さやパラスポーツの魅力を発信しています。久下さんに、パラアスリートである夫との出会いや結婚に至るまでについて聞きました。全2回のインタビューの前編です。
車いすラグビーは激しさとスピード感が魅力
――久下さんとパラスポーツの出会いについて教えてください。
久下さん(以下敬称略) NHK高知放送局に在籍していた2011年、当時車いすバスケ選手だった池透暢(いけ ゆきのぶ)さん(現在は車いすラグビー日本代表キャプテン)に取材する機会があり、初めてパラスポーツに出会いました。車いすに座ったまま、通常のバスケットボールと同じ高さのゴールにシュートを打てることに衝撃を受けましたし、車いすをくるくるとすばやく操作して走るかっこよさにも感動しました。
池選手のように片足を欠損して左腕が不自由でありながら、こんなに激しいスポーツをする人がいると知り「なんだこの世界は?! 」と驚き、魅了されました。そこからパラスポーツの魅力を発信したいという思いで、パラアスリートの方々への取材やパラスポーツ記事の執筆などをするようになりました。
――夫の羽賀選手がプレイする車いすラグビーも、とてもスピーディで激しいスポーツですね。
久下 車いすラグビーはパラ競技のなかで唯一、直接接触をするコンタクトが許されている競技です。高速で激しく接触するので「格闘技」とも呼ばれるほど。常にけがの危険と隣り合わせのスポーツです。私も車いすラグビーの体験会で車いすでのタックルを受けたことがありますが、手加減してもらったタックルですら、体の芯にひびいてめまいが起きそうなほどの衝撃でした。
スピード感ある試合展開も魅力です。オフェンス(攻撃)側はボールを持ってから12秒以内にセンターラインを越えなければならない、さらにボールを持ってから40秒以内にトライをしなければならないというルールがあり、すばやい動きも求められます。12秒以内にセンターラインを越えさせないようにディフェンス(守備)側はプレッシャーをかけることになります。その攻防がものすごくてハラハラドキドキします。
――羽賀選手はチームでどのような役割ですか?
久下 車いすラグビーは選手の障害の程度によって各選手に持ち点が設定されます。0.5から3.5まで7段階のポイントが設定され、障害が軽いほど点数が高く、重いほど点数が低くなります。そして1チーム4人の持ち点の合計が8.0以下になるように編成されます。夫のポイントは2.0で、コートを走り回って守備も攻撃もどちらもする役割です。