真冬のモコモコウエアで赤ちゃんが救急搬送・・・!?ダウン着用でのチャイルドシートや抱っこひも使用は危険【小児科医】

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大雪の様子が報道され、真冬の日本列島。寒い季節は、赤ちゃん・子どものお世話も防寒対策でさまざまなアイテムや衣類を活用しながらの生活になります。寒い日に赤ちゃん・子どもと車で移動をするとき、ダウンジャケットなどの防寒ウエアを着せたままチャイルドシートにのせたりしていませんか? 子どもの事故に詳しい小児科医 山中龍宏先生に、冬にとくに注意したほうがいい抱っこひもとチャイルドシートに関する事故について聞きました。
チャイルドシートを装着していても、防寒ウエアを着ていると衝突時危険!
寒さ対策で利用している防寒ウエアを着せていることによって、万一、事故が起きたとき、防寒ウエアを着ていると被害が拡大する恐れがあるといいます。
――チャイルドシートを正しく装着していても、子どものウエアの影響で危険があるというのはどういうことでしょうか。
山中先生(以下敬省略) アメリカの検証映像で、前向きに設置されたチャイルドシートに、ダウンジャケットを着せた子ども(ダミー人形)を乗せて、車を時速50㎞で走らせて衝突したときにどうなるかを調べたものがあります。子どもはチャイルドシートから前方に投げ出されました。
――チャイルドシートを装着していたのに、子どもが投げ出されたのはどうしてでしょうか。
山中 防寒ウエアを着たまま肩ベルト(以下ハーネス)を締めたので、子どもの体をしっかり固定できていなかったためです。検証映像では、防寒ウエアを脱がせて、チャイルドシートに座らせてみると防寒ウエアの厚みの分ハーネスがゆるくなっていることにも触れていました。車のシートベルトには、車が衝突してしまった場合、体が投げ出されないようにシートベルトを瞬時に巻き取る機能がついていますが、チャイルドシートにはそうした機能がありません。最初からしっかりハーネスで体を固定する必要があります。
――日本でも、こうした事故は起きているのでしょうか。
山中 チャイルドシート使用率調査は警察とJ A Fによって毎年行われていますが、実施は春から初夏です。また交通事故の状況などを分析する公益財団法人 交通事故総合分析センターも、交通事故の統計データには衣類の情報を含んでいないので、データ上では明らかになっていませんが、日本でもこうした事故は、数は少なくても起きていると考えられます。
アメリカでは、NHTSA(アメリカ運輸省道路交通安全局)やAAP(アメリカ小児科学会)が注意を呼びかけています。