たまひよ

先天性の重度難聴の母「長女が50万人に1人の骨の難病と診断され」絶望した日々。自身の経験をもとに難聴児をサポートしたい【牧野友香子】

  • 10歳と8歳の女の子を育てる牧野友香子さんは、生まれつき重度の聴覚障害があり、相手の口の動きを読んで理解し、発声して会話しています。現在、難聴当事者や家族をサポートする会社を経営する友香子さん。起業のきっかけは長女に難病による障害があったことでした。現在、長女は10歳、二女は8歳。家族でアメリカで暮らしています。友香子さんに、長女の病気がわかったときのこと、きょうだいの子育てなどについて聞きました。全2回のインタビューの後編です。


    妊娠8カ月で赤ちゃんに病気があるかも、とわかり・・・



    ――長女を妊娠中の経過について教えてください。

    友香子さん(以下敬称略) 結婚してしばらくして妊娠がわかりました。妊娠8カ月に入ったころ、通っていたクリニックの妊婦健診で「赤ちゃんに病気があるかもしれないから、精密検査をしてもらって」と言われ、急きょ大学病院に転院することになりました。

    何度か検査入院をしたんですが、おなかの赤ちゃんの病気についてはっきりしなかったんです。だから、「病気だったらどうしよう」と毎日が不安でたまりませんでした。妊娠中って、ベビー専門店でわくわくしながらベビー服を選んだりすると思うんですけど、そんなふうに楽しむ余裕もないくらいでした。

    ――出産後、赤ちゃんの様子はどうでしたか?

    友香子 出産自体は順調で、自然分娩で出産しました。でも産後すぐの長女の皮膚の様子などを見て、「何かあるな」と感じました。医師や看護師さんたちがバタバタして、長女はすぐにNICUに搬送されました。さまざまな検査をして、1週間後くらいにわかったのは、50万人に1人といわれる骨の難病があるということでした。

    病名がわかるまで、朝から夜中までスマホで検索をして、どんな病気なんだろう、育てられるのかな、と不安で泣くばかりでした。

    しかも、骨の病気があるとわかるとほぼ同時に、脊髄狭窄(脊髄の通る管が狭くなる病気)があるともわかり、首の神経が圧迫されて命にかかわる状態だと言われました。看護師さんに「首に少しでも刺激を与えたら首から下がまひするから気をつけて!」と言われ、長女を抱っこするのもかなり緊張しました。私は産後1週間ほどで退院し、NICUに面会に通う日々が始まりました。

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